10月29日に、㈱関西スーパー(以下、関西スーパー)がエイチ・ツー・オーリテイリング(以下、H2O)との経営統合を議題として開催された臨時株主総会で、H2Oとの経営統合案が僅差で可決されました。
必要議決割合が出席株主の3分の2(≒66.66…%)での66.68%と、薄氷を踏むような提案側勝利でした。プロキシーファイト調整担当の方は票読みなど、本当に大変だったかと思います。(選挙みたいな感じでするのですかね…)
これにより現株主は、H2Oの子会社でありイズミヤ/阪急オアシス/関西スーパーを束ねる新持株会社(以下、新会社)の株主となり、その株式をH2O(58%)とそれ以外の株主(42%)とで分け合う形となるようです。
H2O傘下のイズミヤ、阪急オアシスとの協業(配送、調達)により、パフォーマンス向上が見込まれますが、議決権が概ねH2Oにあるので、株の所有者はH2Oに経営委任するようなイメージになるのかな、と思います。
オーケー㈱(以下、オーケー)としては、狙っていた関西進出の次の手の検討に入るのでしょうか。
オーケーの所有株式については、「第54期(2021年3月期)」にて「上場投資 有価証券」が約78億円とありました。関西スーパーの8/31終値からの時価総額が約491億円、8/31時点のオーケーの持ち株比率が7.69%から推定しますと、関西スーパー以外に41億円ほど、他の有価証券があることになります。(もちろん、純投資/持ち合い株などもあると思いますが…)
関西進出が悲願であれば、そのプランBとして何か準備がある/するのかもしれません。
親子上場自体は珍しいものでは無く、株式の配分比率は、来春の新しい市場区分(プライムに残る)を見越したものとは思うのですが…仕組みの順守と業績・株価は別の話でもあります。
11/1(月)の株価はストップ安の1,448円と大きく下がり、2(火)終値は1,279円と、臨時株主総会前と比較し▲569円、▲30.8%となり、TOB発表前と比べても2%ほど下がっております。
「株価は未来の価値を折り込んでいる」との考えから見ますと、TOB終了後に市場が示した価値(株価)が正しいのであれば、オーケーが付けたプレミアム(2,250円)は市場価格の1.7~1.8倍だったことになります。
TOBの場合は、株価だけでなく、地元・既存株主のブランドイメージやステークスホルダー(今回は納入食品業者等)の思惑も成否に影響したと感じました。
会社とは/株とは/株主とは何なのか、TOBは株価が全てでは無い、ということを見ることができた、良いケースだったかと思います。
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